『東洋医学』と『西洋医学』

前回紹介したスペインでの『獣医鍼灸』実習から帰ってきてあっという間に約3週間。

3週間前の週末は『Yin/Yang(陰陽)』『Zang-fu(五臓六腑)』『Qi (気)』など東洋医学で頭がいっぱいでしたが、帰ってきてからは『西洋医学』に頭を切り替えて病院勤務。頭の中は『西』に『東』行ったり来たり大忙しです。

東洋ベースの獣医医療を勉強し始めて思うこと。。。

科学で証明されていることもたくさんあるけど、まだ証明されていない『神秘』な部分もたくさんあって、私たち(動物)の身体や心は本当に奥が深くて面白い。

西洋医学だけでなく東洋医学からの視点で患者を診ることができれば、もっと沢山の動物たちを助けることができるんじゃないかと思い、ワクワクしております^^

私たちの慣れ親しんでいる西洋医学は『データ』『科学的検査』をもとに病気の原因を分析。そして、この病気にはこの治療が効果的という風に、『病気・病名』に応じて投薬や手術などの治療を進めていきます

一方、東洋医学は『患者全体』『症状』『症候』を観察し、何のバランスが崩れて、何が原因でこのような症状が出ているのか。。。という風に根っこの部分を探ります。根本を改善していくことで病態を取り除き、治療していくというアプローチです。だから、『病名』が同じでも患者の『性格』『習慣』『病態のパターン』などで治療のアプローチが全く違ったりしてきます

一つの正解がなく『It depends (時と場合による)』。だからこそ、とても奥が深い。

とは言うものの、獣医医療を施す上で西洋的アプローチはとても大切です。そして絶対に必要です。

動物は自分で症状を説明したり、治療法を選択・決定したりすることができません。酷い状態でも平気なそぶりを見せる動物たちも沢山います。私たち人間が解っているつもりでも解っていないことがあります。だからこそ、データ・数値・画像など目に見えるものでしっかりと分析し、動物の状態を出来る限り正確に理解することは欠かせません。

病気によっては、科学的に証明された治療法が確立されているもの、手術が必要なもの、また感染症などで投薬が必要なものなどなど、『西洋医学』に頼る方が適切な場合も多々あります。そして、そんな時はしっかり西洋医学に頼るべきです。

ですが、西洋的アプローチでは原因不明の病気、病名のつかない病気、科学で証明されていないことや、例外的な症例、お手上げ状態になってしまうこともあります。

『西洋医学』も完璧ではありません。

そんな時、東洋的アプローチで『患者全体』を見ることができると選択肢が増え、可能性がグンと広がります。また、西洋医学で一通り治療を受けた後(受けながら)再発・悪化防止のために、西洋医学の効果をあげるために『東洋医学』を使うことができますし、検査などでは異常が確認できないほど初期の状態などにも『東洋医学』の視点はとても役に立ちます。

『西洋医学』と『東洋医学』、どちらが良いとか優れているとかではなく、どちらも得意分野や苦手分野があり、どちらも完璧ではありません。だからこそ、両方ともしっかり勉強し、適切なタイミングで『西洋』『東洋』をバランス良く取り入れることができると最高だなー、最強だなーと思いながら仕事に勉強に励んでいます。

医療も、科学も、人も、動物も完璧ではなく解っていないことだらけ。

だからこそ面白い。

医療に関してだけではなく、日常の様々な局面で『完璧ではないこと』『解っていないことで満ち溢れていること』を喜びワクワクすること。そして、寛容であり、広い視野を持ち、時には忍耐強く、常に学び続け、助けたり助けられたり、、、『バランス』感覚が大切だなと思う今日この頃。

このコースの最初に講師の先生が『このコースはあなたの人生を変えることになるでしょう!』と言っていたのがなんだかわかる気がします^^

コース修了後どんな自分が待っているのか! 一皮二皮むけるよう頑張ります!




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ABOUTこの記事をかいた人

香川県高松市出身 地元香川の高校卒業後、ニュージーランドでの語学留学・大学進学準備コースを経てオーストラリア・メルボルン大学獣医学部に進学。現在イギリスで臨床獣医師として働いています。