警察犬への攻撃を罰する法律『Finn’s Law』がいよいよ施行

つい最近、日本から「動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律案」が成立したという嬉しいニュースが発表されましたね。本当にたくさんの人たちの思いや努力が形になって素晴らしい!!そんな嬉しい気持ちでいっぱいな今日この頃、イギリスからも嬉しいお知らせが!

先週末2019年6月8日、警察犬・馬など業務に関わる動物(サービスアニマル)への攻撃を罰する法律『Finn’s Law(フィンズ・ロー)』がイギリスで施行されました👏👏

この法律の施行により、警察犬・馬は『警察の所有物』ではなく『動物(命)』として守られることになり、動物保護法の上で罰することができるようになります。警察犬・馬への攻撃をした場合、『正当防衛』という言い訳はまかり通らなくなるのです!!

 

『Finn’s Law』と警察犬フィン

警察犬フィン  出典:fabulousfinn

『Finn’s Law』の立役者は警察犬フィンと相棒警察官のウォーデルさん。

2016年10月、警察犬フィンは相棒のウォーデルさんと一緒に強盗犯を追っていました。いよいよ犯人捕獲というとき、犯人がナイフでウォーデルさんとフィンに襲い掛かります。

相棒を守ろうとフィンは犯人の腕に噛みつきウォーデルさんへの攻撃を阻止。そのおかげでウォーデルさんは重傷を追うことなく助かりました。しかし、フィンは犯人に頭と胸を数カ所刺され重傷を負います。胸への刺し傷は肺に達するほど深く、本当にひどい状態でした。それでもフィンは応援の警察官たちが駆けつけるまで犯人を離さず業務に徹し、犯人は無事逮捕されました。

病院に運ばれたフィン  出典:Finn’s Law

この写真はフィンが動物病院に運ばれた時のもの。

胸の刺し傷のうち2箇所は肺に達し、肺からは血が、、、胸部の刺し傷からは外気が胸部に流れ込み、、、これ以上刺し傷から空気が入ってこないように胸を包帯でグルグル巻きにしてどうにか命を繋いでいる状態。。。

ウォーデルさんは『これがフィンの生きている最後の写真になるかもしれない。。。』と思いながらシャッターを押したそうです。

フィンは専門医が待機する病院に救急搬送され、4時間に及ぶ緊急手術が行われました。

手術は無事成功!!

手術翌日のフィン 出典:Finn’s Law

フィンは3日後に退院できるほど奇跡的・驚異的な回復を見せます。

心と身体のリハビリを経て、事件から11週と1日後には警察犬として復帰も果たします。

出典:fabulousfinn

そして2017年3月、本来の予定されていた通りフィンは警察犬を退職。
現在はウォーデルさんと一緒に暮らしています。

フィンが助かって本当に良かった😭
ウォーデルさんも助かって良かった。犯人も逮捕されて良かった。

めでたしめでたし、、、、と言いたいところなのですが、

この事件がきっかけとなり、人間を守っている『サービスアニマル』がいかに法律によって守られていないかが浮き彫りになりました。

 

警察犬への攻撃は『器物損壊』扱い

フィンとウォーデルさんを襲い、フィンの命を危険にさらした強盗犯はロンドンに住む16歳の少年。

その少年に課された罪は、、、

ナイフを所持による『銃刀法違反』ウォーデルさんへの『傷害罪』フィンに対しては『器物損壊罪』

銃刀法違反と傷害罪に対して短期収容所で4ヶ月の服役 + 4ヶ月の保護観察という求刑。

フィンへの『器物損害罪』に対しては罪は認められたものの、求刑はなしという判決。

 

どうしてこんなに軽い罪になったのか?

事件が起きた2016年当時、警察犬などに適用される法律は限られており、現実的には『器物損壊罪』よりも重い刑を科す判決を下すことが出来ない状態でした。

動物への攻撃・虐待は『2006年動物福祉法』で禁止されていますが、当時、動物福祉法には警察犬などのサービスアニマルに対する扱いが記載されておらず、適用が困難でした。そして、万が一『動物福祉法』が適用されていたとしても、この法律による最大懲役は6ヶ月。かなり短いです。そして、ほとんどの場合が最大懲役になることはなく、罰金で済まされます。

補足
イギリスでは2017年より『動物虐待罪に対する最高刑の引き上げ案』が政府で話し合われており、イギリス政府は2018年8月に動物虐待罪の最高刑を現行の懲役6ヶ月から5年へ引き上げることを確約しているのですが、具体的な施行日程はまだ未定です。

『器物損壊罪』は最大10年の懲役を求刑することが出来ますが、現実的なことをいうと警察犬への暴行で懲役10年はほぼありません。起訴されればいい方で、起訴されないことのほうが多いのが事実。

警察犬が職務中に事故として怪我を負ったのか、犯人が意図を持って攻撃したのか、証明するのが困難だというのも理由の一つ。

フィンの場合、あまりにも悪質でショッキングな事件だったので話題にもなり、起訴されましたが、それでも『物』扱い。そして引退間近だったフィンは警察犬という『警察の所有物』としての価値が低いとみなされ、罪は認められましたが、そのことによって犯人が追加の処分を受けることはありませんでした。

 

『Finn’s Law』キャンペーンの発足

この判決がきっかけとなり

『命がけで職務に就いている警察犬たちが植木鉢や窓のように物として扱われるのはおかしい!』
『サービスアニマルたちは物ではなく動物(命)として2006年動物福祉法の下で守られるべきだ!』
『そして動物虐待罪の最高刑が懲役6ヶ月は甘すぎる、最高刑を引き上げるべきだ!』

と、ウォーデルさんは『2006年動物福祉法』の改正を訴えるキャンペーンを立ち上げ、活動を開始します。そしてこの法案は『Finn’s Law (フィンズ・ロー)』と呼ばれるように。

フィンの勇敢なストーリは多くの人の心を動かし『Finn’s Law』運動はすごい勢いで広がりました。

ものすごいスピードで署名が集まり、イギリスの下院を通過し、上院でも順調に可決され、異例の速さで女王からの勅許を得て、事件から2年半後の2019年6月、『2006年動物福祉法』が改正され、『サービスアニマル』の項目が追加されました。

この法律の施行により、警察犬・馬は動物保護法の下守られることになります。

 

『Finn’s Law』パート2

フィンのキャンペーンはこれで終了したわけではありません。

前述した通り、イギリス政府は2018年8月に動物虐待罪の最高刑を現行の懲役6ヶ月から5年へ引き上げることを約束していますが、具体的な施行日程はまだ未定です。法律は施行され、認知され、適切に運用されてはじめて効力を発揮するので、まずは施行されなければなりません。どんなに約束されても施行されなきゃ意味がない。

政府が約束している『動物虐待罪の引き上げ』、この約束を早く実行しておくれ!というのが『Finn’s Law Part 2』です。

『動物虐待罪の引き上げ』を応援したいけどどうすれば?

イギリスに住んでいる方にぜひチャレンジしてもらいたいのが、議員さんに手紙・メールを書くこと。『えっ、議員さんにメール!?しかも英語で!?』と思った方に朗報!とっても簡単に議員さんにメールを送る方法、あるんですよ^^

一番簡単なのはBattersea Dogs & Cats home(動物保護施設バタシー)が展開しているキャンペーンページ『#NotFunny』を使うこと。フィンのキャンペーンとは別口ですが、キャンペーンの内容は同じ。つまり『動物虐待罪の最高刑を現行の懲役6ヶ月から5年へ引き上げること』。

そのページにある『Stand up for animals(動物のために立ち上がります)』というボタンを押すと、議員さんにメールを送れるフォームへのリンクにアクセスできいます。そのフォームに自分の名前や住所を書き込むだけでバタシーが自動でメールを作成してくれるので、難しい文章や言い回しを考える必要ゼロ。すごく簡単にできるので是非チャレンジしてみてください!

また、個人的に地元の議員さんや国会議員にメールを送ることも効果大です!Finn’s law part 2キャンペーンのツイッターで参考になるメール例文を見つけたので参考にして下さい。

https://twitter.com/K9Finn/status/1138421076088840192?s=20

また、#FinnslawPart2 をシェアすることも大きな助けになります。

一人一人の声が大きな力になる!みんなで力を合わせて動物たちを守っていきましょー!!

 


参考資料

▶︎Finn’s Law comes into effect

▶︎Finn’s Law 公式ホームページ

▶︎Fabulous Finn

▶︎NotFunny

 




コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ABOUTこの記事をかいた人

香川県高松市出身 地元香川の高校卒業後、ニュージーランドでの語学留学・大学進学準備コースを経てオーストラリア・メルボルン大学獣医学部に進学。現在イギリスで臨床獣医師として働いています。