珍しいお客さま!

お久しぶりです!

先週は珍しい来客がありました。コーンスネークというナミヘビ科に属するヘビのカーちゃん!

元々、病院に併設しているペットショップで販売されていたこのカーちゃん。ペットとして飼われ始めて早々、自分でうまく脱皮ができないという脱皮不全問題が勃発。脱皮の手助けしようと、飼い主さんが古くなった皮を指でペリペリトはがしていたところ古い皮と一緒に眼球も引っ張ってしまい、眼球が突出してしまうという大惨事に!眼球摘出手術か安楽死という状況でペットショップに返品されてきました。

普段このようなケースは爬虫類を得意とする獣医さんに診察を依頼するのですが、今回は偶然にも爬虫類好き獣医さんたちが病院を辞めていたり、休暇中だったりで診察依頼ができないという緊急事態。もう後がない!最終手段だ!ということで、カーちゃん。。私の元へ送られてきました。

「サヨ、あんたがやらなきゃ、この子は安楽死だよ!」とペットショップのスタッフ。。。
「そんな無茶な。。。」と思いながらも「治療しなきゃ安楽死」と言われると「NO」なんて言ってられません。

ということで、ヘビの全身麻酔の情報、書籍、論文などなどをかきあつめ、土壇場の猛勉強。急遽カーちゃんの全身麻酔&眼球摘出手術をすることに。

まずは、全身麻酔の機材準備。生後3−4ヶ月程のコーンスネークはかなり小さく、子猫に使うサイズの気管支チューブでも大きすぎて使い物になりません。ということで、猫の気管支チューブと点滴用のカテーテルをテープでくっつけて急遽ヘビ用気管支チューブを作成。また、チューブ挿管の際、口を開ける機材としてペーパークリップを使用することに。↓こんな感じ。

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(Copyright © RVC)

そしてカスタムメイドの気管支チューブとペーパークリップを手にしばしイメージトレーニング。

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蛇の麻酔管理は哺乳類とかなり違うので麻酔管理の注意点を確認。

豆知識
蛇には横隔膜が無く、蛇の呼吸は肋間筋を使い肋骨を動かすことで行われます。麻酔薬は肋間筋にも影響を与えるので、麻酔が効き始めると自発呼吸をすることが困難になります。また、蛇は酸素100%の状態では自発呼吸をしないという特徴があります。つまり、100%の酸素とガス麻酔薬を使用する全身麻酔下では自発呼吸は不可能。結果、麻酔中はひたすら人工呼吸をさせなければなりません。手術終了後も麻酔の効き目が切れて自発呼吸ができるまで、麻酔も酸素も止めて普通の空気で人工呼吸をさせてあげる必要があります。

人工的に肺に空気を送り込む役、カーちゃんの心音をドップラー超音波で確認・モニターする役、カーちゃんと気管支チューブを保定する役、必要な機材などを渡す役、執刀医と役割分担をし、準備が整ったところで、いざ手術開始!!

まずは気管支チューブを挿入し、固定。

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それぞれ自分の役割に集中。カーちゃんが予想以上に出血するという緊迫した瞬間もありましたが、手術はなんとか成功!!

カーちゃんが自発呼吸をし、うねうねと動き出した時はスタッフみんな大歓声。現在術後二日、カーちゃん生きてます。このまま順調に回復してくれますように。

ヘビの麻酔と手術、緊張したけど貴重な経験でした。そして爬虫類の勉強もっとしてみようかなと思った出来事でした。




ABOUTこの記事をかいた人

香川県高松市出身 地元香川の高校卒業後、ニュージーランドでの語学留学・大学進学準備コースを経てオーストラリア・メルボルン大学獣医学部に進学。現在イギリスで臨床獣医師として働いています。