【持ちつ持たれつ】イギリスの動物病院と動物保護団体との関係

もちつもたれつ【持ちつ持たれつ】

互いに助け合うさま。相互に助けたり助けられたりするさま。「持ちつ持たれつの関係だ」

出典:デジタル大辞泉

イギリスの『動物病院』と『動物保護団体』の関係はまさに『持ちつ持たれつ』

先日放送されたNHK BS プレミアム『家族になろうよ』の中でも少し触れたのですが、イギリスで獣医をしていると『動物愛護』『動物保護団体の存在』がものすごく身近です。

イギリスには日本の保健所のような飼えなくなったペットの引き取り・保護・譲渡をする公営動物保護センターは存在しません。

 唯一『dog warden:ドッグワーデン』という公営シェルターが存在するのですが、ここは『迷い犬・野良犬』専門です。詳しいことはまた別の記事で!

ではイギリスでペットが飼えなくなったり、迷い犬・迷い猫を見つけたらどうするのか?

答え:

 『近所の動物病院に連れて行く』または『動物保護団体に連絡する』

飼育放棄されたペットや飼い主のいない動物たちの治療や世話は誰がするのか?どうやって譲渡されて行くのか?

答え:

 『動物病院と民間の動物保護団体が協力しあって』

 

イギリスの動物病院と動物愛護団体

 

イギリスの動物保護センターは全て民間です。

イギリスにはRSPCA、Dogs Trust、Cats Protectionなどと言った全国規模の大きな団体から、地域に根ざした小さな団体まで沢山の動物保護団体があり、このような団体が動物保護センターや譲渡会を運営しています。

大きな団体は資金力・組織力が絶大。動物病院を併設している保護施設を所有していることも多く、そこで働く獣医師が保護された動物の診察や治療、避妊去勢やワクチン、また必要であれば安楽死を行います。そのような病院に就職すれば毎日保護された動物の診察・治療にあたることになります。

ただ、、、

動物愛護団体運営の動物病院だけで全てカバーするのは無理です。

小さな保護団体などには病院運営をするほどの資金力はありません。また、大きな団体だって、病院が併設されている施設を全国津々浦々配置することは不可能です。そこで登場するのが一般の動物病院。

私の知る限り、イギリスではほとんどの動物病院が何らかの形で動物保護団体をサポートしています。動物病院が動物保護の窓口になっているのです。

動物病院による動物愛護団体サポート例
  • 動物保護団体発行の避妊去勢割引券の適用
  • 割引価格で避妊去勢・ワクチン接種をする
  • 保護された動物たちを割引価格で診察・治療する
  • 保護施設へ訪問診察に行く
  • 予防薬やフードの寄付
  • 募金集め活動の手助け・募金箱の設置  など

 

また、時には動物病院が動物保護団体に助けてもらうことだってあります。

動物保護団体が動物病院・飼い主を助ける例
  • 飼い主が一般病院の治療費を払えない時、保護団体の動物病院で治療続行する、または保護団体が治療費の一部・全てを負担する
  • 病院で飼育放棄された動物を引き取る
  • 飼い主の身勝手な理由で安楽死になりそうなペットを引き取る
  • 多頭飼育で困っている飼い主の避妊去勢費を負担する

などなど

 

イギリスで獣医師として働いていると、動物保護団体の人たちや保護動物たちと関わらずに過ごすことはほぼ不可能なのでは。。。と思うほどイギリスの動物病院と動物保護団体、獣医師と動物保護団体は深く繋がっています。そして仲良しです^^

私自身も勤務した病院を通してたくさんの動物保護活動、保護動物の治療に関わらせてもらいました。

動物愛護先進国と言われるイギリスでも、無責任な飼い主は山ほどいますし、様々な事情でペットを飼えなくなってしまう人たちも存在します。

一般的な動物病院で働いていても日本では保健所で扱うような事例に遭遇することは日常茶飯事です。

迷い犬、迷い猫

問題行動を起こした犬を手放したい、安楽死してほしいという飼い主

治療費が出せないからペットを手放したい、安楽死してほしいという飼い主

諸事情で飼えなくなってしまったからペットを手放したいという飼い主

避妊去勢費用が出せなくて猫がどんどん増えてしまい困っている飼い主

などなど。。。

取り返しのつかないところまで事態が悪化していて、助けてあげられなかった時の無力感や罪悪感。。。

理不尽なことの連続で心が折れそうになったり、人間はなんて愚かなんだと思ったり、怒りで震えることも。。。

ただ、悲惨な状況に手を差し伸べるのも人間。人の強さや優しさも心にジュワーっと染み渡ります。

このような経験や感情は『自分に何が出来るだろう?』『もっと何か。。。!!!』と深く考えるきっかけとなり、自然と動物愛護や動物福祉、動物愛護団体やボランティア活動に関心が向くように。。。

同じ様な気持ちの獣医師や獣医関係者はとても多く、イギリスでは多く獣医師が動物保護やチャリティー活動を行なっています。

英国獣医協会(British Veterinary Association)が行なった獣医師対象のアンケート調査(Voice of the Veterinary Profession survey panel)によるとイギリスの5人中4人(84%)の獣医師が何らかの形で動物愛護団体のサポートをしている。5人中2人(43%)の獣医師が仕事の合間などに無償で動物愛護団体をサポートしたり動物のためのボランティア活動をしていると答えています。

*参考記事:Volunteer vets – 4 in 5 vets give up time to work with animal charities and rehoming centres

私自身、『自分にできることは何だろう』と色々考えて、ブログや病院を通して色々な情報発信をしたり、飼い主さんサポートをしたり、勤務病院を通して動物保護団体をサポートしたりしていますが、

それでも『もっと何か!』という思いがずっとあり、、、そんな時に出会ってしまった新たなチャレンジ。実は最近新たに始めた事があります^^

何をしているかというと、、、、それはまた今度^^




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ABOUTこの記事をかいた人

香川県高松市出身 地元香川の高校卒業後、ニュージーランドでの語学留学・大学進学準備コースを経てオーストラリア・メルボルン大学獣医学部に進学。現在イギリスで臨床獣医師として働いています。